遺言執行者がいる場合の相続人の行為と第三者対抗要件

まずは改正前のケースから…

(改正前)

  • 被相続人A 子供B 遺言執行者X
    土地のみがAの遺産
  • Aが愛人Sに土地を遺贈した
  • 子供Bは土地を自分名義に相続登記後、第三者Pに売却してP名義の移転登記を済ませた
  • 第三者Pは善意
  • 土地をめぐって、愛人Sと第三者Pの間で争いが生じる

結果 愛人Sの勝ち 第三者Pの負け。

たとえPが善意であっても、土地の所有権を取得できない。

負けたPは、子供Bに対して弁償を求めるしかありません。

「安心して相続不動産の売買ができない」

善意の第三者が負ける改正前は、取引の安全を害していました。

それでは改正後のケースは…

(改正後)

  • 被相続人A 子供B 遺言執行者X
    土地のみがAの遺産
  • Aが愛人Sに土地を遺贈した
  • 子供Bは土地を自分名義に相続登記後、第三者Pに売却してP名義の移転登記を済ませた
  • 第三者Pは善意
  • 土地をめぐって、愛人Sと第三者Pの間で争いが生じる

結果 第三者Pの勝ち 愛人Sの負け。

改正前のケースと逆になりました。

Pは善意なので、改正法のおかげで土地の所有権を取得できる。

負けたSは、子供Bに対して弁償を求めるしかありません。

【民法1013条】

1項

遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

2項

前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

3項

前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。

あらたに2項と3項が、1013条に加えられました。

青字の部分がポイントです。